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今日は節分の日ですね。
節分の日の上写真は漆小皿4種に豆を合わせてみました。
(上:黒漆小皿、800円、径約11cm・高さ約3.5cm※完売)
(中、左:内黒外朱小皿、600円、径約11cm・高さ約3.5cm)
(中、右:漆小皿、400円、径約11.5cm・高さ約3cm※完売)
(下:沈金菊図小皿、500円、径約12cm・高さ約3.5cm)
節分の行事は元来、宮中での年中行事であり、
季節の変わり目には邪気(鬼)が生じると考えられたため、
それを追い払うための悪霊ばらい行事が執り行われました。
近代、そんな宮中行事が庶民に採り入れられた頃から、
節分当日の夕暮れ、
柊の枝に鰯の頭を刺したもの(柊鰯)を戸口に立てておいたり、
寺社で豆撒きをしたりするようになったといいます。
節分は立春の前日です。
四柱推命や風水などの占いでは、節分までは前年に属し、
立春をもって年が改まるとしているものが多いそうです。
節分の豆撒きは立春を年初として、
新しい年の幸運を願っての昔からの習慣であり、
気持ちを新たにする思いでございます。
それでは本日も新入荷のお品物をご紹介いたします。
染付えびす図尺皿
7,500円
(江戸幕末・志田窯)
径約29cm・高さ約5cm
※完売しました
本日、御紹介の品物は、伊万里というジャンルの中で、
そのバラエティーに富んだ絵柄の楽しさで人気の、
江戸時代は後期の作品群、志田窯による染付大皿です。
志田窯のユニークな作風に人気が出て、
なかなか入手できなくなっている昨今、
この機会をお見逃しなきよう、おすすめいたします。
こちらの尺皿、表面には福々しいえべっさんが画面中央に鎮座なさり、
魚釣りに興じていらっしゃいます。
立派な福耳と女性的な手、
えべっさんがすっぽり入ってしまいそうな大きな魚籠(びく)、
…気になるポイントが満載です。
吉祥モチーフが描かれたものが多いのは志田窯の特徴であり、
さらに、やわらかな呉須ダミの発色も志田窯の魅力であり、
こちらの尺皿はその両方の要素を十分に満たしております。
また、えびす様は神格化された漁業の神として、
クジラのことであるという説があります。
クジラが出現すると、漁獲対象魚も一緒に出現する相関関係があり、
クジラが豊漁をもたらしてくれるということから、
信仰と結びついたのではないでしょうか。
表に呉須を多用した分、裏面は無地。
これも志田焼の特徴で、コスト低減策のひとつです。
目を立てて焼いた跡が見られます。
志田窯の伊万里は、江戸後期から幕末期にかけて存在した、
伊万里の34基の窯のうち、5基がそれにあたり窯も大きかったので、
当時伊万里焼として生産されていたもののおよそ20%を占めていたとも、
推算されるようです。
縁周辺は波型の形状を示し、やや端反った造りとなっております。
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・染付三方に放射文尺2寸皿
9,500円
(江戸幕末・志田窯)
径約32.5cm・高さ約5.5cm
※完売しました
同じく志田窯の、こちらは尺2寸皿です。
通常の山水図にはない、奇抜な文様構成になっております。
三方に渡された放射状の文様内部は、
「墨弾き」の技法で雲文の細部を下描きし、
上から呉須を乗せることで、白抜きで、雲文の文様を浮き上がらせています。
こうすることで雲文に立体感が出て、
縁取り線のない写実的な表現に成功しています。
なんとなく大雑把に仕上げてある印象の強い志田焼ですが、
意外なところに工夫を凝らしてあることに気付かされる作例が多いです。
しかも特別にコストを掛けることのないちょっとした工夫で、
そのあたりが幕末期の肥前にあって、有田本窯をもしのぐ、
最大の生産量を誇った繁栄の下地となっているのだと感じます。
松と青海波で表された波、ぽってりとした千鳥が飛んでいます。
二本松が描かれた意匠もまた、
志田窯の伝統的なもののひとつに数えられています。
志田焼の特徴で、表に呉須を多用した分、
裏面は無地というコスト低減策のひとつがありますが、
こちらの尺2寸皿は違います。
高台内には「富貴長春」、
裏側面には、表面でも目立っていた雲文が計6ケ所ございます。
目を立てて焼いた跡も見られます。
縁周辺は波型の形状を示し、やや端反った造りとなっております。
技法的には「白抜き」と言って良い絵付けで、
コスト低減を目指した志田焼にあっては、
比較的多くの呉須を使用した作例と言えます。
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・染付サギ図8寸皿
7,500円
(江戸幕末・志田窯)
径約25cm・高さ約4.5cm
※完売しました
同じく志田窯の、こちらは8寸皿です。
サギ図といえば、
2011年12月27日(火)のブログで染付さぎ図九寸皿をご紹介いたしました。
志田窯のものと是非、比較してご覧くださればと思います。
表面は、只今舞い降りたかのようなサギと、
その背後にダミ埋めの雲を配することで、サギの白さが強調されております。
またその雲が「墨弾き」の技法で表されることにより、
存在感が際立っています。
さらにその奥には沢瀉(おもだか)が大胆に描かれ、奥行きを感じます。
表に呉須を多用した分、裏面は無地。
志田焼の特徴で、コスト低減策のひとつです。
目を立てて焼いた跡が見られます。
また志田焼の“お約束”である、
「エンゴベー(白化粧土)」の痕跡が見られます。
『エンゴベー』とは陶肌をより美しく見せるため、
表面のみに掛けられた白釉のことです。
元々使用していた陶石は鉄分を含み、
それが表面に出てしまうと、赤褐色の斑となってしまうので、
それを隠すためのもののようです。
分かりにくいですが、写真のように器を裏返すと、
その境界に釉が線状に観察できます。
白釉の施されていない裏側には鉄分による斑も見られます。
こうした特徴は志田窯の製品のみに見られるもので、
他の伊万里の窯の製品と区別して扱わなければいけない、
大きな理由でもあります。
縁周辺は波型の形状を示し、やや端反った造りとなっております。
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染付鳥図尺皿
7,500円
(江戸幕末・志田窯)
径約28cm・高さ約5cm
※完売しました
本日最後のご紹介は、同じく志田窯の、こちらも絵柄の表情豊かな一枚です。
全体は呉須の濃淡を使った早朝の風景の中、水辺に葦が茂り、
2羽のカモでしょうか。
鳴き声が聞こえてきそうな臨場感あふれる場面を切り取っています。
画面左に雲が描かれたことにより、
夜が明けたばかりであることが伝わってきます。
既述のように、表に呉須を多用した分、裏面は無地。
目を立てて焼いた跡、エンゴベー(白化粧土)の痕跡も裏側面に見られます。
表面のカモの足元、陸地の下側から裏側面にかけて1ケ所、
呉須が垂れており、この一枚を絵付けした職人の、
「やってしまった…」という表情が浮かんでくるようで、面白いです。
縁部は波型の形状の造りとなっております。
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以上、お品物のご紹介でした。
いつもブログをご覧頂きましてありがとうございます。
次の更新は7日(火)となります。
今後も話題豊富に新入荷のお品物をいち早くご紹介してまいります。
どうぞよろしくお願いいたします。
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